2010年3月25日木曜日

労働審判の第一回期日

今日は、従業員側を代理して申し立てた労働審判の第一回期日でした。

解雇無効と残業代を請求し、請求した残業代のほぼ全額を支払うということで和解が成立し、第一回で終了しました。

最近の東京地裁の労働部は、労働審判を可能な限り一回目の期日で終結させようとしているようです。今日も午前10時からの期日でしたが、結局裁判所の昼休みにまでずれ込み、結局終わったのが12時40分頃でした。労働部の裁判官は、通常であれば午後1時から別の事件の期日が入っているので、昼休みはほとんどない状態で働いていると言えます。

労働審判が事件当事者や弁護士の間で好評であるのも、こうした裁判官の努力があるからなのでしょう。

ただし、労働審判を早く落としたいあまり、(弁護士から見ると)強引な事実認定や和解への説得がなされることもあるようです。

例えば、今日の事件では、解雇予告手当を従業員の方から請求したのですが、この一事をもって、「解雇無効は認められないでしょう」といった認定がなされました。本人は、会社から即時解雇された後、労基署の担当者の指導の下、法律上認められた解雇予告手当を請求したというのが実情のようですが、これが完全に裏目に出てしまいました。

確かに、解雇無効を争う者としては一見矛盾した行動にも思えますが、法律の専門家ではない人の行動にすべて合理的な行動を要求するのも酷な話ですし、請求をした時点では解雇を争えるかどうかも分からなかったのではないでしょうか。

弁護士をしているとよく感じることですが、本件の場合も、即時解雇された時点で、弁護士のところに相談に来てくれれば、もっと有利な和解ができた事案であるといえます。

ちなみに、本件の場合には残業代の請求が認められたので、和解の落とし所としては、(不当解雇の事案として考えた場合には)妥当な線だったと思われます。

本人も非常に満足していて、「これで腰を据えて就職活動ができる」とおっしゃっていました。不況の中ですが、無事に再就職先を見つけて、新たな職場で活躍することを願うばかりです。

弁護士としては、少し嬉しい瞬間でした。

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