2010年7月22日木曜日

外国人雇用-在留資格「技能実習」の新設(平成22年7月1日施行)

従前、就労可能な在留資格として、研修・技能実習制度が設けられていました。

この研修・技能実習制度は、我が国で開発され培われた技術・技能・知識の開発途上国等への移転を図り、当該開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に寄与することを目的として創設されましたが、研修生や技能実習生の受入れ機関の一部には、本来の目的を十分に理解せずに、技能実習の名目で安価な外国人労働力を獲得する目的で制度を濫用するといった事例が見受けられました。

例えば、研修生及び技能実習生を受け入れる機関の中には、他人名義の旅券を使用させて「研修生」として入国させ稼働させていた事例や、研修生に月100時間を超える所定時間外作業を行わせていた事例、劣悪な環境の宿舎に居住させたり、旅券等を強制的に取り上げる等の研修生・技能実習生の人権侵害に至るような事例などが報告されていました(以上、平成19年12月法務省入国管理局「研修生及び技能実習生の入国・在留管理に関する指針」より引用)。

そこで、従前の研修・技能実習制度における不適正事例を排除し、研修生や技能実習生の法的保護の強化を図るため、平成21年7月、出入国管理及び難民認定法を改正し、新たに「技能実習」という在留資格を設けました(平成22年7月1日より施行)

新たな技能実習制度は、受入れ機関の区別により、以下の2つのタイプがあります。

一つは、「企業単独型」といわれるもので、我が国の企業等(実習実施機関)が海外の現地法人や合弁企業等、事業上の関係を有する企業の職員を受け入れて、実習実施機関との雇用契約に基づいて技能実習を実施する形態をいいます。

もう一つは、「団体監理型」といわれるもので、商工会等の法務省令で定める要件に適合する営利を目的としない団体(監理団体)の責任及び監理の下、傘下の企業(実習実施機関)との雇用契約に基づいて技能実習を実施する形態をいいます。

これらの二つのタイプのそれぞれが、入国後1年目の技能等を習得する活動と、2~3年目の習得した技能等に習熟するための活動とに分けられ(技能実習1号と2号の期間を合わせて最長3年)、以下の表のとおり、その在留資格が4区分に分けられました。


なお、技能実習2号へ移行するには、技能検定基礎2級等の検定試験に合格する必要があります。
この新たな技能実習制度により、技能実習生は1年目から実習実施機関と雇用契約を締結した上で技能実習を受けることになったため、労働基準法、最低賃金法等の労働関係法令の適用が及ぶようになりました。

また、実習実施機関や監理団体は、技能実習生に対して、「日本語」「本邦での生活一般に関する知識」「技能実習生の法的保護に必要な情報」及び「本邦での円滑な技能等の習得に資する知識」に関する講習を実施する義務を負うこととなりました。

その他、監理団体による指導・監督・支援体制の強化、運営の透明化を図るような様々な制度や規制が設けられました。

詳細は下記のサイトをご覧下さい。

http://www.moj.go.jp/ONLINE/IMMIGRATION/ZAIRYU_NINTEI/zairyu_nintei10_0.html

以上のとおり、外国人を雇用している企業は、今回の入管法改正に留意する必要があります。

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