労経速2073号
〔事案の概要〕
本件は、被告を退職した原告が、雇用契約に基づき、退職金400万円の支払いを被告会社に対し請求した事案。会社は、原告には就業規則違反(競業避止義務違反等)があるとして、これを争った。
〔結論〕
原告の被告に対する自己都合退職を理由とする退職金(中途退職一時金)の請求は、正当なものとして、これを容認するのが相当である。
〔判示事項〕
① 退職金請求の正当性
・ 「被告の就業規則52条3項は、何らの代償措置もなく同業他社に対する2年間の就職を禁ずるものであり、その違反の効力は、労働者の職業選択の自由の不当な制限にならないよう合理的な制限が加えられてしかるべきであるところ、原告が就職したセキショウ社は現在実質4名の従業員で構成される小規模な会社であり、売上高及び経常利益も被告会社に及ばないものである。」
・ 原告には就業規則に定める52条3項違反の事実があり、また、就業規則の懲戒解雇相当事由という退職金不支給事由が形式的には存するけれども、「前記事情を総合考慮するときは、原告の勤続の功を抹消又は減殺するほどの著しい背信性があるとまではいえないし、退職金(中途退職一時金)の請求が権利の濫用であるということもできない。」
〔コメント〕
・ 転職先が小規模な会社であることが、一つの大きな理由付けとなっている。
2010年7月5日月曜日
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